データ収集系を構成するプロセスについて見てみましょう。データ収集シス テムは簡単に言えばCAMACやVME、TKOなどのインターフェースからデータを読 み込んで磁気テープなどの記憶装置に書き込むプログラムですが実際にはデー タをモニターして実験が期待されるように進行していることを確認したり、実 験パラメータを管理したり、トラブルの発生を検出し対応したり、オペレータ の行った操作を記録したりといった様々なサポート機能も必要な大規模なシス テムになります。そのため、システムを次のような観点から考えてみます。
1)システムを構成する様々なプロセスに共通する機能階層。 データバッファや制御の流れ、データベースなど。 2)機能階層をもとにシステムの構成ブロックとなるプロセス。 データ収集プログラム、テープ書き込みプログラム等々。
前者を横糸にたとえると後者は縦糸と言うことになります。横糸はプロセスの 間で情報やタイミングをやり取りする階層と考えられます。データそのものも 交換されるわけですが実験開始や終了といった操作や、フロントエンドからの 割り込み信号の処理、それぞれのプロセスが発生するメッセージのやり取り、 実験セットアップに関するデータベースなど様々なデータ、実験装置の制御な どがこれらの機能階層に該当します。縦糸となるプロセスにはデータをフロン トエンドから読みだす収集系(UNIDAQでいうcollector)、マスストレージに書 き込む記録系(recorder)、オンライン解析系(analyzer)や、マンマシンインター フェースで操作を伝える実験制御系、発生する様々な事象やオペレータの操作 などを記録して行くログブックなどがあります。本書ではまず横糸となる機能 階層について、次にプロセスについて解説します。